「仕事」と「働くこと」が同じようで違うように、「仕事」と「ビジネス」も同じようで違う。ビジネスの意味をどのように使っているだろうか。前回の「自立」とあわせて考えてみたい。
ビジネスと仕事・働くこととの大きな違いは
ビジネスにはお金を稼ぐという明確な目的がある。このことが仕事・働くこととの大きな違いである。仕事をして結果的に対価を得ることと目的をお金を稼ぐことに置くことは違う。
ボランティアや公職に就いている人は結果的に対価としてお金を受け取っても、お金を稼ぐこと自体を目的としてはいけない。このことを勘違いすると非難の的になる。
ビジネスはお金を稼ぐことだけが目的ではなく、誰かのための仕事をすること、自分の体と頭を使って働くことには変わりはない。これらのバランスを取ることは難しいが不可能ではない。
ビジネスに必要なのは明確な意志である。この意志を理念・ミッション・ビジョンとして表現するとどのようなビジネスを目指しているかが分かる。業種・業態にこだわることはない。
好きなことをやりたいことに変える
好きなことをしてお金を稼ぎたいという話を聞くことがある。自分が好きなことをしているという人にあなたはお金を払うだろうか。あなたの役に立つ、または琴線に触れたならお金を払うかもしれない。そうでなければ好きなことをしている人に進んでお金は払わないだろう。
好きなことを誰かのためにやりたいことに変えることができればお金に変えることができる確率は高くなる。例えば歌をうたうのが好きでもお金は入ってこないが、誰かのために歌をうたうことで聴いた人の心を動かした初めてお金が入ってくる。
歌をうたうのは働くことで、誰かのためにうたうことは仕事になり、お金をいただくことができてビジネスとなる。この3つのバランスを取ることで良い働き方、良い仕事、良いビジネスとなる。
どうすればビジネスになるだろうか
副業が公に認められるようになり、自分の好きなこと、自分のやりたいことを副業として行うことができるようになった。また定年後は雇用継続ではなく自分の好きなこと、やりたいことを行いたいと考える人も以前より多くなったように思う。
もちろん好きなこと、やりたいことを副業でも定年後の仕事としてでも考えることは楽しいことだ。他人がとやかくいうことはない。自分の仕事をビジネスとして成立させるためにはどのようにすればよいのだろうか。
起業ノウハウが書かれたいわゆる起業本は昔から多々ある。時代に応じたノウハウが満載で読んでいるだけで明日からビジネスができるような気になってくる。起業本にはあまりページが割かれていないことがある。それはビジネスに対する「情熱」についてである。
自立したビジネスを行うためには
情熱とは、なにがなんでもこの仕事をビジネスにしたいという気持ちである。なにがなんでもということは、時間・資金・人脈など自分の持っているものを費やすことができるかということだ。何も全財産を費やし、長時間労働をしなければならないということではない。
大切なことは「自分の持っているもの」の部分である。自分の持っているものを客観的に正確に把握しているだろうか。この自分の持っているものを知るということは自分を知るということでもあり、自分を客観的に見ることができることが自立するということである。
テクニックだけでビジネスはできないし、他社との比較だけでもビジネスはできない。絶対的な自分の存在を示さなければビジネスにはならないのである。
自分のビジネスとは自分自身である
自分の仕事とは自分のできる範囲の仕事であり、仕事の範囲以外に生活があるという考え方になる。自分のビジネスとは仕事も生活もビジネスに含まれる。自分のビジネスとは自分自身であり、自分の生き方でもある。
(つづく)