ミニマルビジネス(以下、ミニビズ)の7つの要素は「ヒト・モノ・カネ・情報・時間・場所・顧客」です。ミニビズにおける「時間」とは時刻、期間、時機、機会、過去・現在・未来を指します。時間は時計だけで知るのではなく、観察から知ることも多いのです。
時計でわかる時間
人間には体内時計という生体リズムを調整する機能を持ち合わせています。これは人間だけでなくすべての生物が持ち合わせています。眠くなる時間、お腹が空く時間、これらも生体リズムの一部です。ただこれらはミニビズの要素としての時間にはあまり関係ありません。
なぜなら人それぞれ生体リズムが違いますので共通する時間ではありません。共通する時間を知るために世界共通の「時刻」という考え方を用い始めたのは近代になってからです。時刻は人間同士で共通の考え方ですのでビジネスに限らず基礎的な知識です。
日本人は時間厳守という考え方を子供の頃から躾として教わります。時間は個人の考え方ではなく言葉と同じく共通の考え方で、個々人が時間という概念を崩すことを嫌います。とは言っても遅刻は戒められますが、終わりの時間については時間厳守しなくてもあまり咎められません。
時刻と時刻の間を時間と言いますが、一般的に時刻と時間は同じようにして使われます。ミニビズでは時刻と時間は別の考え方とし、時間は期間を意味し予定や計画を立てるときに重要な要素になっています。時間を守るとは時刻を守るだけではなく期間も守るということです。
タイミングとチャンス
ビジネスに必要な時間にはタイミング(時機)とチャンス(機会)が必要だとよく言われます。どんなに素晴らしいビジネス構想でもこの2つがないと実現できません。タイミングとチャンスをうまくつかむと運が良いと言われることも多々あります。
そういうこともあるかもしれませんが、運任せでビジネスを行うわけにはいきません。特にミニビズの場合はヒト・モノ・カネが小規模だけにタイミングとチャンスは大きな割合を占めます。時(とき)には流れがあり、これを時流と言います。時流にはさらにトレンドとブームがあります。
時流を観察しベストの時機を狙うのが最も良い方法ですが、ベターを見逃さないことが重要です。これは時計でわかる時間ではなく観察で得る時間です。さらにミニビズの他の要素もベターであればチャンス到来と考えて、この機会を逃さないことです。
タイミング(時機)とチャンス(機会)は時計ではわかりません。時流を観察し、他の要素がベターの状態であればミニビズの絶好の機会となります。決して運だけでビジネスを行うのではなく、準備を重ね、待機している時期も必要なのです。
時間は必ずしもプラスの要素だけではない
時間はあるし、時流を観察し、時機を見計らい、他の要素も揃い、機会が来たとビジネスを始めてもなかなかうまくいかないこともあります(経験談)。私自身の反省ではありますが、うまくいかない原因は過去の経験でした。プラス、現状の自分自身の見極めが不足していました。
過去の経験は過去の時間そのものです。過去から継続して現在があるのは理の当然です。過去の経験を現在のビジネスに活かすことも大切です。ところが過去と現在ではビジネスの環境が異なることもあります。過去の経験を元にして観察し時流を見て時機を見計らうことが必ずしも良い方向には向かないのです。
また過去に経験したことと現在の自分自身とは異なることもあります。私の場合は両親の介護がミニビズとは別次元で発生したので、ビジネス上の過去の経験は役に立ちませんでした。過去には1週間でできたことが1ヵ月かかってしまったのです。
私だけの例外であれば時間という要素に含めないのですが、このような話を同じミニビズ仲間に話すと往々にして自分も同じ経験をしたということを耳にしました。時間は常に経過するので、過去の経験も現在の自分も常にアップデートしなければならないと痛感したわけです。
時間管理とは自己管理だけを意味しない
自己管理の1つに時間管理があります。手帳、アプリ、ときにはガントチャートを使って時間管理を行っていると思います。また時間管理には、計画・予定・実績の3つを管理する場合と、予定だけを管理して時間管理とする場合があります。
いずれの時間管理も自分に直接関わることに対する管理ですが、自分に直接関わること以外の管理も必要となってきます。例えばオリンピックの開催日、東日本大震災が発生した日など世の中の流れが大きく変わる日、変わった日も押さえておくことでビジネスに役立つことがあります。
個人的なこと、一日に中で発生することも同じです。時間管理とは時間だけではなく、身の回りで起きる事象の管理と考えたほうがよいと思います。ビジネスは時間とその時の環境で大きく左右されるからです。何気なく天候に注意するのも時間の管理のひとつと言えるでしょう。
最も重要なのは未来という時間
時間の中で最も重要なのは未来という時間です。未来を予測することによって、仕事、生活、社会、自分を取りまく環境に対応できるようになります。注意しなければならないのは予測であって、自分に都合のいい予想でもなく、根拠のあまりない予言でもありません。
未来を予測することは自分のミニビズのビジョンを持つことにもつながります。ミニビズにビジョンが必要かどうかではなく、予測した未来における仕事がビジョンとなります。ミニビズは小規模が前提ですので、ビジョンも持ちやすいと思います。
ミニビズを始めるならば、他の要素よりも先行して時間という要素を考えてみてはどうでしょうか。