経営資源の「情報」には、ノウハウ・技術・特許・著作権・営業権・各種データなどがあり、他の有形の経営資源に対して無形の経営資源と考えられています。ミニマルビジネス(以下、ミニビズ)ではこのような経営資源がないことが多いので別の考え方をします。
ミニビズの「情報」とは
「情報」には内部の情報と外部からの情報があります。情報の発信場所から分ける考え方の他にデータとしての情報とインフォメーションとしての情報があります。データは数値化できる情報、インフォメーションは数値化できない情報と考えます。
例えば、「株価が19,000円から20,000円に上がった」というのはデータを元にした情報で、「経済の情勢を考えると今後も上がりそうだ」というのはインフォメーションです。データが客観、インフォメーションが主観と言うこともできます。
ノウハウや技術力は人(ヒト)に付いているともよく言われます。ノウハウや技術力は伝えることができますので、マニュアルを作成することによって一般化、標準化できます。このように無形の経営資源も有形の経営資源に変えることができす。
ミニビズの「情報」とは情報の分類よりも、収集>蓄積>加工>発信を繰り返すプロセスとして考えます。
「情報」をミニビズの中心に置いて考える
ミニビズの7つの要素が「ヒト・モノ・カネ・情報・時間・場所・顧客」だということはすでにお話ししました。これらの要素は相互に関係していますが、中心になるのはどの要素でしょうか。私は「顧客」と「情報」だと考えています。
下の図をご覧いただけばわかるように、中心に置く要素との関係でミニビズを考えます。特に「顧客」と「情報」を中心にして考えることが重要です。顧客の情報というよりは顧客との情報交換と考えたほうが適切です。
つまり顧客とのコミュニケーションは欠かすことができません。必ずしも随時、直接、コミュニケーションを取るということではありません。顧客の年齢・性別・住所・・・という固定的な情報よりも、今現在の情報を収集することが大切です。
そのためには受動的な情報収集よりも能動的な情報収集が必要です。

顧客の情報収集を能動的に行うためには
顧客の情報収集のよくある方法は、会員制にして登録時に情報を収集する、特典を付けてアンケートで情報を収集するという方法です。このような方法を見聞きしたり、実際に経験したこともあると思います。
このような方法は顧客が回答した内容を蓄積して分析しビジネスに反映するのですが、情報が多いだけにシステマティックに行わなければ時間がかかるだけでタイミングを逃すかもしれません。ましてやAIやRPA( Robotic Process Automation)に敵いません。
ミニビズは必要最小限のビジネスですので簡単な質問だけで顧客の今の情報を収集するようにします。キャッチフレーズ、名刺のコメント、商品のPOP、SNSのプロフィールなどに書く要領で短い文で作成します。
ポイントは紹介ではなく、質問または勧誘の内容にします。「いっしょに〇〇〇しませんんか?」「〇〇〇したいと思いませんか?」のように。
情報の整理をどのようにして行うか?
ミニビズの「情報」は収集>蓄積>加工>発信のプロセスだと前述しました。収集した情報の整理を行うにはエクセルのような表計算ソフトで整理するのが常套手段です。ミニビズでは必要最小限の情報の収集を行います。
世の中のビッグデータの動きとは一致しません。顧客の情報とは、名前と連絡方法と質問・勧誘の回答(雰囲気)、忘れてはならないのが情報の収集日です。登録するのも既存の連絡先アプリで、加工のためにデータをエクスポートできるものがよいでしょう。
例えばGoogleなら連絡先(コンタクト)に多くの項目を登録することができますので、その一部を代用して記入する方法でかまいません。顧客の情報を積極的に集めるようにするとなにかと手間がかかりますので、日常の活動で情報収集できるようにします。
顧客とのコミュニケーションが煩わしいと思っては顧客情報を収集することはできません。短時間で必要な情報だけを集めるようにします。
ヒト(自分と顧客)とパソコン(スマホ)がミニビズの要
「情報」は無形の商品と考えることもできますし、「顧客」とのコミュニケーションを行うツールと考えることができます。「情報」だけを考えるのではなく情報は必ずなんらかの媒体か情報ツールによって扱われます。
紙媒体や通信媒体の他に、対面での情報提供には個人(ヒト)の印象も大きな役割を果たします。また情報ツールは手書きやパソコンだけではなく、スマホつまりカメラとマイクがあるツールがこれからも中心になっていくでしょう。
パソコンや電話を事務機として考える時代は終わりました。これからはパソコンはAIのインターフェース、電話は顧客とのコミュニケーションにおけるインターフェースとしての役割が大きくなります。
パソコンを印刷物製造機としてだけ使っていたり、スマホを電話だけで使っていたのではたとえミニビズが小規模のビジネスでもロスが多くなるのは否めません。
ヒト(自分と顧客)とパソコン(スマホ)がミニビズの要(かなめ)です。